熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「地味でダサい。おまえには彼女がそうとしか見えないのか。やれやれ残念な男だ。容姿や肩書だけで相手を判断するおまえに、人の本質など見えやしない。だから、おまえは三流なんだよ。三流の人間に大きな仕事を任せられるか?」
「成輔、おまえ……!」
「親父は任せないな。俺の代になったら、そもそもおまえたち親子に椅子が用意されるかもわからないぞ」

成輔はとんでもなく怒っている。静かな口調なのに、ものすごく怖い。
そして、このままだと成輔は正論で相手を追い詰めるだろう。

「俺の妻、未来の風尾グループの社長夫人を馬鹿にした罪は重いぞ。身の振り方を考えるべきだな」
「そんな……横暴が許されるわけ……」
「許される? 俺が決めるんだ。許しはいらない」

私はがばっと立ち上がった。そして締め切ってあったふすまをバンと開ける。

成輔が少しだけ眉をあげ、私を見た。
小沢康太は一瞬私が誰かわからなかったようだ。眼鏡にメイクははげかけ、寝ていたせいで髪の毛はくしゃくしゃだものね。
しかし彼は、すぐに私が成輔の最愛の妻だと認識したようだ。口を開けうろたえている。本人に悪口が聞こえて気まずいという感覚が、この男にもあるらしい。

「すいませんが、うちの成輔が怒ってるのでお引き取り願えますか?」

私は面倒くさそうないつもの口調で言った。実際、こんな男と関わるのはとても面倒くさい気持ちではあった。でも、成輔をこれ以上怒らせたくない。
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