熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「あれ?」
流れた水はどばっという量ではないが、少しずつ下着につけたナプキンに出ている感覚がある。よちよちとトイレにいき内ももに伝った水分を拭う。尿やおりものじゃない。何かの水が流れ続けている。
「破水かも……」
赤ちゃんの頭が下に降りてきてお産間際に破水する場合と、お産が進行しないうちに破水する場合があると資料にあった。そういった場合はちょろちょろと羊水が流れ出続ける。
ナプキンを厚手のものに変え、私はトイレから出る。成輔は心配そうにリビングから廊下をのぞいている。
「成輔、破水かも。高位破水ってやつ」
「病院に行こう。俺につかまって」
成輔は入院バッグを背負い、私のことも軽々と抱きかかえた。妊娠で十キロは体重が増えているはずなのにものともしない。
車にバスタオルを敷いて乗り込む頃には、痛みが強くなっているのを感じた。
「お腹痛くなってきた」
「このままお産かもしれないね」
「あはは。もう少しで会えるのかあ、この子と」
痛みに耐えながらお腹をさする。怖いけれど、初めての経験の始まりに少しだけわくわくする。