熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「葵、俺にできることはなんでもするから。頑張ってほしい」
「隣にいてくれたらいいよ。痛いらしいから、私が取り乱してもそれをネタにしないでね」
「了解」

成輔はひとつ息を吐いた。少しだけ不安そうな横顔。

「俺も緊張してる」
「大丈夫。……百パーセント安全とはいかないけど、私とこの子なりにベストを尽くすよ」
「たくましいなあ。そういうところが好きだ」

成輔の運転で車は産院へ向かう。
そこからの私のお産は明け方まで続いた。
わくわくするなんて言っていられたのは、本当に最初だけで、赤ちゃんが出てくる頃は声も枯れ体力もつきかけぼろぼろだった。何度か痛すぎて記憶が飛んだ。
成輔はずっと隣で私に水分補給をしたり腰を押したりしてくれていた。

朝陽が差し込む頃、赤ちゃんの産声を聞いた。
生まれたての真っ赤な赤ん坊。
大きな泣き声を聞いて、成輔が私より先に涙をぬぐっていたのを覚えている。

そこで私の記憶は途切れてしまった。

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