熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

エピローグ

「成輔、シュウちゃんの着替え、バッグに入れた？」

洗面所から顔を出すと、すでに準備万端スーツ姿の成輔がこちらを振り向いた。

「緑のロンパースでしょう。入ってるよ。マグに麦茶、グズった時用のおもちゃとおやつも」
「ありがとう。あ！　スタイの替え！」
「それも入ってる。着替えと一緒に」

さすが成輔。子どもの荷物も抜かりが一切ない。

「シュウちゃんは？」
「寝てるね」

一歳になったばかりの息子の柊輔は、長座布団ですやすや眠っている。私の仕度の間、成輔が遊んでくれていたのだけど、そのまま眠ってしまったようだ。

「今、爆睡だと怖いよ。大事なところで泣き喚きそう」
「その時は、俺が外に連れ出すよ。きみは百合ちゃんの晴れ姿を見たいだろ」
「うん。ありがとう、助かる」

今日は百合の結納である。お相手は岩千先生こと千川雄二さん。
現在は岩水先生のお弟子さんを続けながら、陶芸家として積極的に作品を発表している。
百合は院田流の後継者として活動の幅を広げているし、ふたりの婚約は界隈ではちょっと盛り上がるニュースだった。

そんなふたりの結納。この日を私もとても楽しみにしていた。