熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「百合たちも結婚かあ」

私は成輔の淹れてくれたお茶をすすりながら呟いた。

「私、成輔と結婚できて毎日幸せを噛み締めてるけどさ、考えてみると、最初から最後まで成輔の手の上で転がされてたんじゃないかとたまに思うわ」
「ええ? 人聞き悪くない?」
「だって初恋は奪われてるし、離れたと思ってもお見合いで捕獲されるし、気づいたら恋に叩き落とされてるし。成輔としては計画通りなんじゃない?」

成輔は苦笑いして言い返す。

「俺が健気にきみに片想いしてた10年以上の月日を忘れないでほしいなぁ」
「それは鈍感すぎて失礼しましたけど」
「俺はね、自分勝手な人間だから、自分がしたいようにきみを愛していただけ」

そっと歩み寄ってきた成輔が私の顔を覗き込み、防ぐ間もなく口付けてきた。

「口紅、ついたよ」
「はは、ごめん。塗り直しになっちゃったね」

成輔は口元を拭わずにもう一度私にキスをする。
全然悪びれもしない言動は、昔からまったく変わっていない。

「きみは俺の純愛にほだされた優しい人。少々じゃじゃ馬で、どこまでもマイペースで強くて格好いい俺の女神。一途な愛が実って、最愛の我が子も授かって、俺は世界一幸せな男だよ」
「じゃじゃ馬ってさあ。まあ、変わり者同士、うまいこと結ばれたって感じかしらね」
「ごくごく普通の夫婦だよ。ちょっと俺の愛が重いってくらいで」
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