熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
楽しそうに言って、成輔はタオルを肩にかけた。これは柊輔のよだれ防止だ。

「さて、そろそろ出発時刻だ。今起こすと泣きそうだね」
「でも、車に乗せたらまた寝ちゃうかも。期待しましょ」
「たくさん寝たら結納の間ニコニコしていられるかな」
「どうなるか予測つかないのよね」

成輔が名前を呼びながら抱き上げると、柊輔は身体を捩りふにゃふにゃ泣き出した。私はバッグを持って先に玄関へ。成輔の革靴を用意し、鍵を持って外に出る。

「さあ、行こうか」
「赤ん坊連れの初イベント、頑張るよ!」
「イベントといえば、葵とハネムーンも計画したいな。シュウちゃんを連れて家族旅行になるけど」
「シュウちゃんも一歳だし、考えてみようか。少し遠出できるかも」

柊輔の元気一杯の泣き声にかき消されそうになりながら、私たちは楽しい計画を話し合う。
車のチャイルドシートに乗せると、柊輔は怒って大暴れ。隣に座って私は苦笑いだ。

「まずは今日を乗り越えようね」
「あまり気負わなくていいよ、葵」
「成輔、頼りにしてます」

成輔の運転で車が発進する。
空は高く、ぽかりぽかりとひつじ雲が浮いている。
柊輔はまだわんわん泣いていたけれど、あやしながら私は穏やかな幸福を感じていた。
近づいて離れて、恋と愛を重ねて、ようやく家族になった私たち。
忙しくも楽しい日々は、まだ始まったばかりだ。


(了)



*****

お読みいただきありがとうございました。
2023.10.11 砂川雨路
< 207 / 207 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:710

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

元カレ救命医に娘ともども愛されています

総文字数/101,605

恋愛(純愛)158ページ

表紙を見る
かつて女の子だった人たちへ

総文字数/99,972

恋愛(その他)165ページ

表紙を見る
敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
  • 書籍化作品
[原題]愛するあなたの赤ちゃんだから~一夜の寵愛で授かった子を育てていたら、最愛の人が迎えに来ました~

総文字数/55,091

恋愛(純愛)108ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop