熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
楽しそうに言って、成輔はタオルを肩にかけた。これは柊輔のよだれ防止だ。
「さて、そろそろ出発時刻だ。今起こすと泣きそうだね」
「でも、車に乗せたらまた寝ちゃうかも。期待しましょ」
「たくさん寝たら結納の間ニコニコしていられるかな」
「どうなるか予測つかないのよね」
成輔が名前を呼びながら抱き上げると、柊輔は身体を捩りふにゃふにゃ泣き出した。私はバッグを持って先に玄関へ。成輔の革靴を用意し、鍵を持って外に出る。
「さあ、行こうか」
「赤ん坊連れの初イベント、頑張るよ!」
「イベントといえば、葵とハネムーンも計画したいな。シュウちゃんを連れて家族旅行になるけど」
「シュウちゃんも一歳だし、考えてみようか。少し遠出できるかも」
柊輔の元気一杯の泣き声にかき消されそうになりながら、私たちは楽しい計画を話し合う。
車のチャイルドシートに乗せると、柊輔は怒って大暴れ。隣に座って私は苦笑いだ。
「まずは今日を乗り越えようね」
「あまり気負わなくていいよ、葵」
「成輔、頼りにしてます」
成輔の運転で車が発進する。
空は高く、ぽかりぽかりとひつじ雲が浮いている。
柊輔はまだわんわん泣いていたけれど、あやしながら私は穏やかな幸福を感じていた。
近づいて離れて、恋と愛を重ねて、ようやく家族になった私たち。
忙しくも楽しい日々は、まだ始まったばかりだ。
(了)
*****
お読みいただきありがとうございました。
2023.10.11 砂川雨路
「さて、そろそろ出発時刻だ。今起こすと泣きそうだね」
「でも、車に乗せたらまた寝ちゃうかも。期待しましょ」
「たくさん寝たら結納の間ニコニコしていられるかな」
「どうなるか予測つかないのよね」
成輔が名前を呼びながら抱き上げると、柊輔は身体を捩りふにゃふにゃ泣き出した。私はバッグを持って先に玄関へ。成輔の革靴を用意し、鍵を持って外に出る。
「さあ、行こうか」
「赤ん坊連れの初イベント、頑張るよ!」
「イベントといえば、葵とハネムーンも計画したいな。シュウちゃんを連れて家族旅行になるけど」
「シュウちゃんも一歳だし、考えてみようか。少し遠出できるかも」
柊輔の元気一杯の泣き声にかき消されそうになりながら、私たちは楽しい計画を話し合う。
車のチャイルドシートに乗せると、柊輔は怒って大暴れ。隣に座って私は苦笑いだ。
「まずは今日を乗り越えようね」
「あまり気負わなくていいよ、葵」
「成輔、頼りにしてます」
成輔の運転で車が発進する。
空は高く、ぽかりぽかりとひつじ雲が浮いている。
柊輔はまだわんわん泣いていたけれど、あやしながら私は穏やかな幸福を感じていた。
近づいて離れて、恋と愛を重ねて、ようやく家族になった私たち。
忙しくも楽しい日々は、まだ始まったばかりだ。
(了)
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2023.10.11 砂川雨路