熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「葵ちゃんは打算で結婚してくれていいって。俺がきみを好きだからいいんだよ」
「それはよくない!……気がする。あなたの誠意に、報いられるか考えないといけない」

成輔があははと笑い出した。

「俺が勝手に好きだったんだってば。その気持ちに対してご褒美をあげなきゃって思う必要はないよ。葵ちゃんらしくない非合理的思考だね」
「いや、ある意味合理的かな。院田家と風尾家の友好継続のためには。私たちが無駄に不仲になるのはいいことではない」
「それで、俺を愛せるか考えてくれるの? 真面目だねえ」
「愛せる……かもしれない」

私の言葉に成輔の表情がわずかに変わった。
それは今までとは一転、緊張感をはらんだものだった。

「成輔は私の初恋の相手で、……私は忘れていたけど、百合が言うには成輔に失恋したときにだいぶ泣いていたらしい」
「待って。俺、一度も葵ちゃんを振ってないんですけど」
「話の腰を折らないでよ。いや、ほら、中学生くらいの成輔は彼女が絶えない感じだったじゃない。まあよく見かけましたわ、成輔と女子」

成輔は「あ~」と頷く。

「そういうのに興味がある時期だからね。でも、それこそいっときの感情で、自然消滅しちゃうくらいの付き合いだったよ」
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