熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「そうかもしれないけど、それをきっかけに私は成輔に距離をとるようになったんだよ。失恋したって思って」
「そうか。あの頃、葵ちゃんは俺に本気だったのか。小学生だった葵ちゃん、そっか、あの頃に婚約しちゃえば俺の勝ち確だったわけか」

しみじみ言う成輔は三十代の男子なので、小学生の私を想い出している姿は少々気持ちが悪い。この男のこういうところが苦手なのだけれど。

「ともかく、長らくあなたの気持ちを信じずに拒絶的な態度を取ってきたのはよくなかったなと考えている。子ども時代とはいえ、失恋で泣くほど好きだった人だし、結婚したら徐々にその……愛せるのではないか、と」

向かいの席から成輔が腕を伸ばしてきて、私の両手をがしっとつかむ。真剣な眼差しだ。

「うん。そうに違いないね」

気の早い成輔の腕をばっとふりほどく。

「ま、待って。愛といっても種類がある。恋愛にすることはないし、親愛? 家族愛的な意味合いで成輔とうまくやっていける未来があるのではないかと」

長年、私を想ってくれていた成輔。打算ではなくプロポーズに応えるなら、私も差し出せるものを差し出すべきだ。それが私の親愛。
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