熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「待って。家具、私も見に行きたいから、そんなに急がないで」
「あ、そうだよね。家具だって、一緒に決めたいよな。気が利かなくてごめん」

いや、正直に言えば家具にこだわりなんかない。成輔が用意してくれるという当初の話に乗って、丸投げでも問題ない。しかし、成輔主導で超スピードに決まっていく新生活に焦りを覚え始めていた。時間稼ぎをしたいほどに。

「葵がふたりの暮らしに意欲的で嬉しいな」
「意欲的というか、責任があるので参加しますというだけで」
「それでも嬉しいよ。明日はどうかな」

成輔は私がプロポーズに応じてからずっとご機嫌だ。会うたび、愛情たっぷりの眼差しと言葉を浴びせかけてくる。
以前は適当にあしらっていたそれらの言葉が、重みのあるものだと痛感してしまった私は、もう無下にもできないわけで。

結局、翌日の日曜には家具を見に行くことになり、あらかたの手配はその日に済んでしまった。家電など、注文から搬入まで時間がかかるかと思われたものも、成輔の手配ですべて一週間足らずで入ることになった。
強いて言うなら、寝室とベッドを別々にする交渉がここでできただけよかったかもしれない。成輔に任せていたら、私はキングサイズのベッドで成輔と寝起きするはめになっていたのだから。

「次の月曜には引っ越すよ。葵は都合のいい日においで」

結局同居までの期日を引き延ばすこともできず、私はマンションを決めてから二週間後の土曜に引っ越しとなった。


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