熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「まあ、概ねそうだけど、私も料理が出来たらいいと思ってるのは本当」

自分で作ったハンバーグを箸で切り分け、もうひと口。うん、センスがなくても努力してみるものだ。レシピは何度も動画で見直したし、ひき肉を混ぜるのは素手でやったから指と指の間がねちゃねちゃして不快だった。ソースは自信がないから市販のものにした。

「できなかったことができるようになる。ちょこっとでも進化を感じる。そういうのは楽しいよ」
「向上心が強いよね、何事に対しても」

成輔はふふっと優しく微笑んだ。私は箸を置いた。

「あのね。じゃあ、私からもなんだけど、毎日夕食に間に合うように帰ってこなくていいよ」

成輔が私を見つめ返す。少し驚いた顔をしている。

「車で迎えにきてくれたりさ、私のために都合を合わせるのを苦とも思ってないのかもしれないけど、同居したらそれは毎日になるんだよ。大変でしょう」
「そんなことないよ」

しれっと答える成輔。こういう腹の見えないところが嫌なのだ。
私は嘆息し、びしっと成輔を指さした。
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