熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「知ってるよ。寝る前に自分の部屋で超仕事してるでしょ。会食だって、断り続けるわけにもいかない。成輔はCEOなんだよ」

成輔はにこにこしながら黙っている。私はたたみかける。

「私と長く一緒に暮らすなら、譲り過ぎないで。自分のペースをちゃんと守って。その上で、私と一緒にいてよ」
「一緒にいて……って染みる言葉だなあ」
「茶化すな」
「ごめんごめん。わかったよ。俺としては、同居したてだからきみに全部時間を使いたかったってだけなんだけど、逆にきみに気を遣わせたね」

成輔は立ち上がって、冷蔵庫からシードルの瓶を出してきた。飲む?と聞かれたので頷くと、グラスをふたつ持ってキッチンから戻ってきた。

「わかった。仕事もおろそかにしない。それでいい?」

私は深く頷いた。シードルのぱちぱちはじけるささやかな泡。この家に来て、初めてお酒を飲んだなと考える。

「葵が思いのほか、俺との生活を真剣に考えてくれていて嬉しいな」
「結婚するんだから、真剣に考えるっつうの。当たり前でしょ」
「そっかそっか」

成輔の笑顔はさっきまでより少しリラックスして見えた。
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