熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
その晩、私は風呂上りの成輔に金曜の件を切り出した。私もこれからお風呂という準備をし、事務連絡のようにさりげなく言ったつもりだ。

「ふうん」

ソファで仕事のメールを返していた成輔は静かな表情。ニコニコ笑顔なのも不気味だが、この無表情は明らかに不機嫌だ。

「同期の家に飾る花を一緒に選ぶだけ。すぐに帰ってくるよ」
「食事に誘われてるんじゃない?」

成輔にそのことは言っていないが、察しているようだ。確かに最初、今谷は食事に誘ってきた。

「断ったから、そっちは」
「花を選んでくれた御礼に食事をおごるよって話になると思うけど」

成輔は冷静なだけに、静かな怒りが伝わってくるようだ。そんな態度を取られるほうがこちらとしてはイライラする。

「断ります。婚約者と同棲している身なんで」
「そう」
「金曜、定時後に吉祥寺。行ってくるので」
「わかったよ」

ツンとして響く成輔の声。まあ、いいや。私はもう仁義を通した。報告、連絡、相談。ちゃんとした。
ずんずんとバスルームに向かい、服を脱いだ。

「だいたい成輔だって女性と食事くらいするでしょ~」

熱いシャワーを浴びながら、ぶつぶつ文句を言う。
成輔だって、立場上仕事の相手と会食くらいする。それが女性だったことだってあるはずだ。場合によっては、成輔に女性を紹介したいと同席させる人だっていたかもしれない。
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