熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
笑って、成輔は私の手を取った。そのままぎゅっとつなぐ。いとおしそうな仕草に、愛されている実感を覚えた。この人は私が好きなのだ。好きで好きでたまらないと、つないだ手から伝わってくる。

「結婚式、私もちょっと真面目に考える。まだ先のことだと思ってたけど、準備が早すぎて悪いことでもないし、逆になんの準備もしないのはよくないか」
「前向きな検討、嬉しいな。じゃあ、夕食を食べながら話そうよ。お腹空いちゃったんだ」
「パーティーで何も食べなかったの?」
「あちこち挨拶が忙しくて全然」

成輔と向かい合って食べる食事にもすっかり慣れた。成輔のいる毎日は、もう私の日常だ。
さっき、成輔を可愛いと思ったのは本音。私のことが大好きで、私との結婚式を楽しみに考えてくれている成輔。そんな人をいとおしいと思わないではいられない。
それがすなわち恋なのかと尋ねられたら、難しい。
友情や家族愛は感じている。何を考えているかわからないところもあるけれど、信頼はしている。
だけど、燃えるような恋の感情……そもそもそんな感情を覚えたことがないので知識としてだけど、とにかくそんな気持ちは成輔相手に感じない。

成輔はそんな私と結婚をしていいのだろうか。
成輔はどう見ても優良物件だ。彼が望めば、素敵な女性はいくらでも手に入る。
成輔に本気で恋をしている女性だっているはずだ。
それなのに、こんな中途半端な私が、成輔の花嫁になっていいのだろうか。
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