妖帝と結ぶは最愛の契り
「小賢しい。子狐の幻火など私に効くものか」
淡々と告げる声からは怒りの感情などは伝わってこない。
ただ、冷たい視線だけが美鶴に突き刺さる。
その氷柱の様な視線に凍らせられたように身動きが出来なくなった。
碧雲はゆったりとした足取りで本物の美鶴がいる塗籠へと近付いて来る。
「なりません!」
小夜が身を起こして塗籠と母屋を隔てる御簾の前に立ちふさがるが、碧雲は「退け」と軽く告げた。
それだけで小夜の袿の裾に赤い火が点く。
火はすぐに燃え広がり、小夜の衣を焼いて行った。
「ひっ」
「小夜!」
流石の小夜も青ざめ、美鶴は思わず声を上げる。
予知は、自分が碧雲によって薬を飲まされ死産となってしまうというもの。
それ以外は視なかったため、少なくも酷い目に遭うことはないのではないかと思ってしまっていた。
だが、碧雲が腹の子の死を願っている以上それだけで終わるはずがなかったのだ。
淡々と告げる声からは怒りの感情などは伝わってこない。
ただ、冷たい視線だけが美鶴に突き刺さる。
その氷柱の様な視線に凍らせられたように身動きが出来なくなった。
碧雲はゆったりとした足取りで本物の美鶴がいる塗籠へと近付いて来る。
「なりません!」
小夜が身を起こして塗籠と母屋を隔てる御簾の前に立ちふさがるが、碧雲は「退け」と軽く告げた。
それだけで小夜の袿の裾に赤い火が点く。
火はすぐに燃え広がり、小夜の衣を焼いて行った。
「ひっ」
「小夜!」
流石の小夜も青ざめ、美鶴は思わず声を上げる。
予知は、自分が碧雲によって薬を飲まされ死産となってしまうというもの。
それ以外は視なかったため、少なくも酷い目に遭うことはないのではないかと思ってしまっていた。
だが、碧雲が腹の子の死を願っている以上それだけで終わるはずがなかったのだ。