妖帝と結ぶは最愛の契り
「その莢子の入内に必要な品を用意すると協力を申し出た平民がいるのだ。協力する代わりに、お前を生きたまま渡してくれとな」
「協力した、平民?」
誰のことだろう? と疑問に思う。
自分のことを知る人物は今も昔もあまり多くはない。
平民と聞いて真っ先に思い浮かぶのは家族だが、自分を必要だと思ってもらえるとは思えない。
何より、大門の火事の後消息を絶ったのだ。死んだと思われてるに決まっている。
なのに碧雲は楽し気な笑みを口元に戻し、連れてきていた頭巾を被った二人を見た。
そういえばこの二人は来てからずっと庇に留まり動いていない。
まさかこの二人がその平民なのだろうか?
視線を向けると、背の高い方から男の声がした。
「……まったく、何故お前が妖帝の妻などに……帝とはいえ、妖にくれてやるつもりで育ててきたわけではないというのに」
「っ!」
もう聞くことはないと思っていた声。
だが、生まれてからずっと聞いてきた声だ。聞き間違えるとは思えない。
「本当に。大体生きていたなら帰って来なさいよ、姉さん」
「……はる、ね?」
もう一人からは同じくもう聞くことはないと思っていた妹の春音の声がする。
信じられない思いで見つめると、二人は頭巾を取り顔を晒す。
そこには、二度と会うことはないと思っていた父と春音の姿があった。
「協力した、平民?」
誰のことだろう? と疑問に思う。
自分のことを知る人物は今も昔もあまり多くはない。
平民と聞いて真っ先に思い浮かぶのは家族だが、自分を必要だと思ってもらえるとは思えない。
何より、大門の火事の後消息を絶ったのだ。死んだと思われてるに決まっている。
なのに碧雲は楽し気な笑みを口元に戻し、連れてきていた頭巾を被った二人を見た。
そういえばこの二人は来てからずっと庇に留まり動いていない。
まさかこの二人がその平民なのだろうか?
視線を向けると、背の高い方から男の声がした。
「……まったく、何故お前が妖帝の妻などに……帝とはいえ、妖にくれてやるつもりで育ててきたわけではないというのに」
「っ!」
もう聞くことはないと思っていた声。
だが、生まれてからずっと聞いてきた声だ。聞き間違えるとは思えない。
「本当に。大体生きていたなら帰って来なさいよ、姉さん」
「……はる、ね?」
もう一人からは同じくもう聞くことはないと思っていた妹の春音の声がする。
信じられない思いで見つめると、二人は頭巾を取り顔を晒す。
そこには、二度と会うことはないと思っていた父と春音の姿があった。