妖帝と結ぶは最愛の契り
「ですが私は妖狐の子でも嬉しいですよ? もふもふの耳としっぽのある赤子も可愛らしいでしょうし」
「……では二人目も作るか? 次は妖狐の子が生まれるかも知れぬ」
「え?」

 どんな子でも可愛いという話をしたのに、斜め上の言葉が返って来て少々驚く。
 だが見上げた顔は子供のように無邪気で幸せそうで……。

(この方の子ならばまた産みたい)

 そう素直に思えた。

「次は娘でもいいな。もちろん息子でも嬉しいが」
「ふふっ」

 楽し気に語る弧月は本当に嬉しそうで、美鶴は思わず笑ってしまう。

「そうですね、弧月様が望まれるなら何人でも。あなたの子を産めるのは私だけなのですから」

 産みの苦しみや、その後の体の回復など辛いことはある。
 だが、その後の幸せが辛さを上回るのだ。
 そう思わせてくれる弧月の子ならば、何人でも産みたいと思った。

「……それは、凄い殺し文句だな?」

 意表を突かれた様に軽く驚いた弧月は、また美鶴の髪を撫で流れるように顎を捕らえる。

「可愛い我が妻……愛している、美鶴」
「私も愛しております、弧月様」

 愛の言葉を紡いだ唇が触れ合う。
 その口づけは、未来の幸せを守るための誓いの様であった。


【妖帝と結ぶは最愛の契り】 了
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