妖帝と結ぶは最愛の契り
(どうして? 予知は、変えられないのではないの?)
「予知? そなた、何を言って――」
瞳に映した彼の紅玉の目が困惑に彩られる。
「弧月様!」
だが、最後まで言葉を発する前に第三者の声が響いた。
「一人で行動なさらないでください! あなたは妖帝なのですよ⁉」
「っ⁉」
青みがかった黒髪と珍しい金の目を持つ、こちらも上質な狩衣姿の男が叫びながら近付いて来る。
妖帝。その呼び名に美鶴は更なる驚きを受けた。
身なりから公卿と言えるほどに位の高い公家なのだろうとは思っていたが、まさか帝とは流石に思わないだろう。
「よ、ようて……?」
驚きすぎて繰り返す言葉さえ途中で切れる。
そんな美鶴の頭に弧月と呼ばれた男はぽん、と軽く手を乗せた。
大きな手が頭を包むように乗り、えも言われぬ安心感とむず痒さを覚える。
「声が大きいぞ時雨。一応お忍びなのだからな」
「そう思うのなら一人で突っ走らないでください!」
悲鳴のように叫ぶ時雨と呼ばれた男は、すぐに美鶴の存在に気付いた。
「その娘を助けるために飛び出したのですか?」
「ああ。民を守るのは帝として当然の事だろう?」
何も特別な事などしていないという風に話す弧月は、美鶴の頭の上に乗せた手をぽんぽんと動かす。
(何、かしら? 何だか、面映い……)
その手の動きは遊ばれている様にも思えるのに、美鶴はどうしてか照れ臭い気分になった。
「予知? そなた、何を言って――」
瞳に映した彼の紅玉の目が困惑に彩られる。
「弧月様!」
だが、最後まで言葉を発する前に第三者の声が響いた。
「一人で行動なさらないでください! あなたは妖帝なのですよ⁉」
「っ⁉」
青みがかった黒髪と珍しい金の目を持つ、こちらも上質な狩衣姿の男が叫びながら近付いて来る。
妖帝。その呼び名に美鶴は更なる驚きを受けた。
身なりから公卿と言えるほどに位の高い公家なのだろうとは思っていたが、まさか帝とは流石に思わないだろう。
「よ、ようて……?」
驚きすぎて繰り返す言葉さえ途中で切れる。
そんな美鶴の頭に弧月と呼ばれた男はぽん、と軽く手を乗せた。
大きな手が頭を包むように乗り、えも言われぬ安心感とむず痒さを覚える。
「声が大きいぞ時雨。一応お忍びなのだからな」
「そう思うのなら一人で突っ走らないでください!」
悲鳴のように叫ぶ時雨と呼ばれた男は、すぐに美鶴の存在に気付いた。
「その娘を助けるために飛び出したのですか?」
「ああ。民を守るのは帝として当然の事だろう?」
何も特別な事などしていないという風に話す弧月は、美鶴の頭の上に乗せた手をぽんぽんと動かす。
(何、かしら? 何だか、面映い……)
その手の動きは遊ばれている様にも思えるのに、美鶴はどうしてか照れ臭い気分になった。