妖帝と結ぶは最愛の契り
「他に、でございますか?」
「ええ。例えば“主上にお会いしたい”とか」
具体的な例を出されたが、それは美鶴が思ってもいなかったことゆえ首を横に振ることしか出来ない。
「いいえ、ございません。主上はお忙しいお方です。私に会うためだけに貴重なお時間を割いて頂くわけにはいきません」
「とはいえ三か月もお渡りがないのですよ? 不安には思わないのですか?」
尚も食い下がる時雨には戸惑うが、美鶴の意志は変わらなかった。
「元より寵を賜るために妻となったわけではございませんし……。私の力があのお方のお役に立っていて、こうして毎日花を頂けるだけで幸せでございます。これ以上は罰が当たってしまいますわ」
そう、毎日花を贈るという約束を違えず続けてくれている。自分を忘れていないという証を贈ってくれている。
それだけで十分なのだ。
「……そう、ですか」
時雨は残念そうな面持ちで嘆息すると小夜を見る。
目が合った小夜も同じように息を吐く様子を見て、美鶴は不思議そうに首を傾げた。
そんな美鶴にまた目を向けた時雨は改めて口を開く。
「ええ。例えば“主上にお会いしたい”とか」
具体的な例を出されたが、それは美鶴が思ってもいなかったことゆえ首を横に振ることしか出来ない。
「いいえ、ございません。主上はお忙しいお方です。私に会うためだけに貴重なお時間を割いて頂くわけにはいきません」
「とはいえ三か月もお渡りがないのですよ? 不安には思わないのですか?」
尚も食い下がる時雨には戸惑うが、美鶴の意志は変わらなかった。
「元より寵を賜るために妻となったわけではございませんし……。私の力があのお方のお役に立っていて、こうして毎日花を頂けるだけで幸せでございます。これ以上は罰が当たってしまいますわ」
そう、毎日花を贈るという約束を違えず続けてくれている。自分を忘れていないという証を贈ってくれている。
それだけで十分なのだ。
「……そう、ですか」
時雨は残念そうな面持ちで嘆息すると小夜を見る。
目が合った小夜も同じように息を吐く様子を見て、美鶴は不思議そうに首を傾げた。
そんな美鶴にまた目を向けた時雨は改めて口を開く。