妖帝と結ぶは最愛の契り
だが、彼女の言う通りもしかしたら殿方には好評なのかもしれない。
できるだけ早く弧月に歌を返したいと思っていたこともあり、美鶴は初めて小夜以外に自分の作った歌を聞かせることにした。
(主上の歌は萩の落ち花が敷き詰められた場所を私と歩きたいというものだから……)
しばらく無言で考えた美鶴は、意を決して口を開く。
「萩の枝 思い浮かぶのも 紅紫色 行けぬこの身は 狸となりて」
貰った萩も紅紫色なので、情景が思い浮かびます。でも私は行けないので、代わりに狸となって向かいます。
という意味の歌なのだが……。
「……っくは!」
美鶴の歌を聞いた時雨は堪えきれないといったように吹き出した。
そのまま大笑いすることはなかったが、笑いを耐えているのか肩が震えている。
「ふっ……と、途中まではまだ良かったのに、何故狸……くっ」
笑われてしまったことが恥ずかしく、頬が熱くなる。
ちらりと小夜を見ると、目蓋を閉じ額に手を添えていた。
これは呆れを通り越してどう反応していいのか分からないといったところだろうか。
できるだけ早く弧月に歌を返したいと思っていたこともあり、美鶴は初めて小夜以外に自分の作った歌を聞かせることにした。
(主上の歌は萩の落ち花が敷き詰められた場所を私と歩きたいというものだから……)
しばらく無言で考えた美鶴は、意を決して口を開く。
「萩の枝 思い浮かぶのも 紅紫色 行けぬこの身は 狸となりて」
貰った萩も紅紫色なので、情景が思い浮かびます。でも私は行けないので、代わりに狸となって向かいます。
という意味の歌なのだが……。
「……っくは!」
美鶴の歌を聞いた時雨は堪えきれないといったように吹き出した。
そのまま大笑いすることはなかったが、笑いを耐えているのか肩が震えている。
「ふっ……と、途中まではまだ良かったのに、何故狸……くっ」
笑われてしまったことが恥ずかしく、頬が熱くなる。
ちらりと小夜を見ると、目蓋を閉じ額に手を添えていた。
これは呆れを通り越してどう反応していいのか分からないといったところだろうか。