妖帝と結ぶは最愛の契り
「上手い下手はともかく、伝えたいことは分かります。ですがどうして狸なのですか? 鶺鴒などの小鳥でもよろしいでしょうに」
「そ、それはその……あまり美しい動物だと身の丈に合わなそうで……それに狸ならば可愛らしいですし」
「……」
恥ずかしいのでこれ以上話したくないが、教育係でもある小夜に問われては説明しないわけにもいかない。
たどたどしく答えると、額に手を置いたまま黙り込んでしまった。
「いや、しかし主上しか読まない文なのだから良いのでは? おそらく主上なら可愛らしいとおっしゃって下さいますよ? た、狸でもっ」
くはっと話しながらまた笑われ、本気で恥ずかしい。
「わ、笑わないで下さいましっ!」
聞かせなければ良かったと後悔するが、後の祭りとはこのことだろうか。
だが、一先ず返歌をしたためられない理由は理解してもらえたようで、時雨はそれ以上は言わず帰ってくれた。
(感性も、学ばなくてはね……)
「そ、それはその……あまり美しい動物だと身の丈に合わなそうで……それに狸ならば可愛らしいですし」
「……」
恥ずかしいのでこれ以上話したくないが、教育係でもある小夜に問われては説明しないわけにもいかない。
たどたどしく答えると、額に手を置いたまま黙り込んでしまった。
「いや、しかし主上しか読まない文なのだから良いのでは? おそらく主上なら可愛らしいとおっしゃって下さいますよ? た、狸でもっ」
くはっと話しながらまた笑われ、本気で恥ずかしい。
「わ、笑わないで下さいましっ!」
聞かせなければ良かったと後悔するが、後の祭りとはこのことだろうか。
だが、一先ず返歌をしたためられない理由は理解してもらえたようで、時雨はそれ以上は言わず帰ってくれた。
(感性も、学ばなくてはね……)