妖帝と結ぶは最愛の契り
(早く弧月様に会いたい)
本日幾度も思った心の声。
何度目かの心の声の後、「美鶴様……」と小夜の声がした。
「主上が参られました」
「ええ、通してちょうだい」
答えると、しばらくして衣擦れの音と共に殿方のしっかりとした足音が聞こえてくる。
その音は迷いなく母屋に入って来て、美鶴のいる御帳の前で止まった。
するとすぐに練平絹の帷子が上げられる。
暗い中、外からの僅かな月明りを受けて弧月の白金の髪がほんのりと光る。
その赤く美しい紅玉の目を確認し、美鶴は頭を下げた。
「お待ちしておりました、弧月様」
「俺こそ待たせてすまなかったな」
優しい声がかけられ、躊躇いもなく中に入って来た弧月はすぐに美鶴の顔を上げさせ抱き締める。
「こ、弧月様?」
「本当にすまない。姫の入内の件は俺の口から話さなければならなかったというのに……説明が遅くなってしまった」
「っ!」
謝罪と共に告げられた入内という言葉。
それはつまり、灯と香の言っていたことは事実だということだ。
間違いであってほしいと願ってしまっていた美鶴は、思わず身を固くさせる。
以前小夜に感じたとき以上の嫉妬が沸き上がりそうになった。
本日幾度も思った心の声。
何度目かの心の声の後、「美鶴様……」と小夜の声がした。
「主上が参られました」
「ええ、通してちょうだい」
答えると、しばらくして衣擦れの音と共に殿方のしっかりとした足音が聞こえてくる。
その音は迷いなく母屋に入って来て、美鶴のいる御帳の前で止まった。
するとすぐに練平絹の帷子が上げられる。
暗い中、外からの僅かな月明りを受けて弧月の白金の髪がほんのりと光る。
その赤く美しい紅玉の目を確認し、美鶴は頭を下げた。
「お待ちしておりました、弧月様」
「俺こそ待たせてすまなかったな」
優しい声がかけられ、躊躇いもなく中に入って来た弧月はすぐに美鶴の顔を上げさせ抱き締める。
「こ、弧月様?」
「本当にすまない。姫の入内の件は俺の口から話さなければならなかったというのに……説明が遅くなってしまった」
「っ!」
謝罪と共に告げられた入内という言葉。
それはつまり、灯と香の言っていたことは事実だということだ。
間違いであってほしいと願ってしまっていた美鶴は、思わず身を固くさせる。
以前小夜に感じたとき以上の嫉妬が沸き上がりそうになった。