千秋くん、優しくしないでください!!
「あなた達も同類でしょ?」
にやっと千秋くんファンの子達を嘲笑うように笑うと、顔を真っ赤にして、その女の子達も走ってどこかに行ってしまった。
「咲、大丈夫だった?」
楓が心配そうに眉を下げながら、顔を覗き込んできた。
「うん、大丈夫。」
そう応えながら、机にバックの教科書を取り出して入れる。
楓はあたしの斜め前の席に荷物を置きながら、
「そっか、よかった。
もう、咲がだいぶ女の子達煽るからこっちがハラハラしたよ…」
とため息を吐いた。
「ごめんって。」
「それにしても、今日も今日とて千秋くんは大人気だね!」
「そだね」
今日も今日とて、千秋くんのモテ具合がすごい。
隣の席の千秋緋色くん。
彼を知らない人はこの中学にはいないだろう。
そのくらい、彼は人気なのだ。
暗い灰みのあるブラウンの髪、深みのある緋色の切れ長の目。
ただ、制服を着ているだけなのにその姿さえ様になる。
世にいうイケメンとはこのことだろう。