千秋くん、優しくしないでください!!

「ま、待って!
ど、どうして私じゃダメなの!?」
千秋くんからどう隠れるかを考えていると、
有栖川さんが大きな声で彼を呼び止めた。
このままでは終われないというように、必死に懇願するような目を向けている。
「…まぁ単刀直入に言うと…君にそういう気持ちを持てないから。」
若干めんどくさそうに頭をかきつつ、足を止めて彼女に向かい合ってそうはっきりと口にして彼女を拒絶した。
さっきよりも言葉に棘があるのは気のせいではないだろう。
私にとっては時間稼ぎができて有難いけど、千秋くんにとっては有難迷惑な話なのかもな…
「そ、そんな…ひどい…」
千秋くんの言葉に涙を目にためて悲しそうに顔を歪めた有栖川さん。
確かに、千秋くんははっきり言いすぎな気がするけど…
告白とはそういうものだとも思う。
それに、気持ちがないのに優しくあしらって期待させるのも酷だ。
私は千秋くんの返事もそこまで悪くはないと思うけど…
有栖川さんにとって、好きな人に言われるその言葉はキツかったのかもしれないな…
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