千秋くん、優しくしないでください!!

「…はぁ、そうやって泣いてたら俺が同情して慰めてくれると思ってるんだったら、勘違いも甚だしいよね。」
はっと嘲笑うように泣き出した彼女を見て、笑って辛辣な言葉を投げた彼。
一瞬、だれが言ったのかわからなかった。
だって〝千秋くん〟のイメージとかけ離れていたから。
表情も、態度も。
ほんとうに私の知っている千秋くんなの?
そう疑いたくなるぐらい、私の知っている千秋くんとは何もかもが違っていた。
「そ、そんなこと言うのだって私が好きだからそれの照れ隠しなんだよね…?」
動揺をさっき以上に隠しきれていない有栖川さんは、何を思ったのかそんなことを言い出し始めた。
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