千秋くん、優しくしないでください!!
「は…?」
「いや、そうだよね!
私のこと好きじゃない男子なんていないわけだし!
千秋くん、ほんとは私のこと好きなんでしょ?
正直に言って!?」
胸に手を当てて潤んだ瞳を向ける彼女。
な、なんでそんな解釈になる…?
というか、ちゃっかり私のこと嫌いな男子はいないって言ってるし…
あまりの自意識過剰さに少し呆れた表情を浮かべる。
「マジでなんでそんな考えに至るの?
というか自意識過剰だし。
アンタみたいに、性悪な女なんか好きになるわけないから。」
私と同じように呆れて軽蔑する視線を、彼女に向けた千秋くんに、さっきよりも泣きそうな表情を浮かべている有栖川さん。
「ひ、ひどいっ」
「ハッ、どこが酷いって?
お前のしたことの方がよっぽど陰湿で酷いと思うけど?」
鼻で笑って見下すような目を向ける千秋くんの顔は冗談を言っているような表情じゃなかった。
不敵に口角をつりあげて笑った彼にゾクッとしてしまった。