平凡JK、ドS悪魔と婚約しました!?
出会い
純恋は平凡女子高生だ。最近は華のJKなんて言うのだろう。しかし純恋の場合「華」ではない。「平凡」だ。特別美人でもなく、かといってブサイクでもない。貧乏でもなく、お金持ちでもない。成績も良いわけでもなく、悪いわけでもない。全体的に平均。全てにおいて、飛び出て良い悪いもない。強いていうなら名前が可愛らしい、ということだ。自分でも意外と気に入っている。
「純恋ー?遅刻するわよー?」
「んーまだぁ...」
純恋は母の忠告など耳にも入れず、スヤスヤと眠っていた。夢の国に入り浸っていた。微かに笑みを浮かべている。
「純恋?いい加減にしなさい!」
「んんー...」
純恋はようやく瞼を開けた。いつも通りの天井が目に入る。しばらくゴロゴロとベッドの上で転がり、目が覚めてきた時に時計を覗いた。
「8時...15分...?」
8時20分に登校し8時30分には門が閉まる。学校からは比較的近いが、それでもギリギリ間に合わないくらいだった。純恋の学校は時間に厳しい。遅刻してしまえば、評価は駄々下がりだろう。しかも門が閉まってしまえば学校に登校すらできない。1日の学校は全てチャラになってしまうのである。
「え!?う、嘘っ!」
純恋は飛び起きた。重い身体を起こして、パジャマを脱ぐ。白いすべすべの肌が...と言っている暇すらない。制服に身を包む。急いで階段を下りて、髪をひたすら手でとかした。食パンをくわえて...少女漫画ではそうなることだろう。しかし純恋は何もくわえず、必死にローファーをはいた。
「い、行ってきます!」
純恋は全力で走った。今なら間に合う。まだ、まだ間に合うと信じて。息があがる。足が重い。急いで曲がり角を曲がる。
「きゃっ!」
ドンと誰かとぶつかった。疲れきった足がふらつく。するとスラッとした腕が純恋の腰にまわされた。不覚にもドキッとしてしまう。
「す、すみません」
純恋は慌てて謝る。ぶつかった相手は見たこともないくらいイケメンで、大人の余裕がある、とにかくイケメンだった。普通の人とは何かが違う。そんなオーラを放つ人だった。
突如純恋の手が光った。相手の手も光った。
「...っ!?」
眩しくて目を閉じてしまう。しばらくして光がなくなったとき、そっと目を開ける。間近にイケメンの顔があった。じっと見つめられる。純恋の心臓はバクバクとなっていた。至近距離で聞こえてしまうかと思った。後ずさったとき、イケメンは左手を見せてきた。綺麗な指輪が目に入る。衝動的に純恋も左手を見た。
「...え?」
純恋の左手の薬指に綺麗な指輪がはめられていた。
(なに、これ!?)
「お前、名前は?」
イケメンからイケメンボイスが発された。当たり前だ。イケメンなんだから。具体的に言うと、低くて心地よい声だ。
「す、純恋、です」
だから純恋は従うように言ってしまった。
「純恋...か。分かった」
「...あ、えと...」
「純恋、お前は今日から俺の婚約者な」
「...は?」
「その指輪、婚約指輪だ」
「な、何を言ってるんですか?」
「お前は、選ばれたんだよ」
純恋は今までにないくらい動揺する。婚約なんて言葉は身近ではなかったからだ。純恋はまだ高校生だ。
「す、すみません。良く分かりません...」
どこがで聞いたことがあると思った。AIが答えられないときに発する音声だ。分からないことを言われたときのAIはこんな気持ちだったんだと思う。
「こ、こんなの外してしまえば...」
純恋は薬指にはまった指輪を引っ張る。しかしびくともしない。
「外せねぇよ。それ」
「理解できません...なぜ私は知らない貴方と婚約しないといけないんですか!?」
「だからさっきも言ったろ。選ばれたんだよ」
「そんなの、あり得ません。非日常すぎます...」
純恋は混乱していた。混乱しているうちに、8時20分になってしまった。近くで予鈴がなる。
「...い、急いでいるので、その...」
「学校か?」
「そうです。なので婚約とか、受けませんから!」
逃げる体制になる純恋にイケメンは声をかける。
「何年何組だ?」
「...2年2組です、けど...」
イケメンは指を鳴らした。パチンと音がなった瞬間、風が吹いた。ギュッと目を閉じる。さっきも同じような光景があったなと思いながら、落ち着いた時に目を開けた。
「え...?」
『んじゃ、出席確認するぞー』
いつもの担任の渋い声が響く。
(ここ、教室!?さっきの人は?)
純恋は周りを見渡す。しかしあのイケメンはいなかった。ここまでどうやって来たのか、彼が何者なのか。今の純恋には分からなかった。予鈴が鳴り終わるまでに席につけていたのは、きっと彼のおかげなんだろうということしか、分からなかった。左手を右手で隠すように包む。
(婚約なんて、認めてないんだから!)
純恋は今も活発に心臓が鳴っていた。
「純恋ー?遅刻するわよー?」
「んーまだぁ...」
純恋は母の忠告など耳にも入れず、スヤスヤと眠っていた。夢の国に入り浸っていた。微かに笑みを浮かべている。
「純恋?いい加減にしなさい!」
「んんー...」
純恋はようやく瞼を開けた。いつも通りの天井が目に入る。しばらくゴロゴロとベッドの上で転がり、目が覚めてきた時に時計を覗いた。
「8時...15分...?」
8時20分に登校し8時30分には門が閉まる。学校からは比較的近いが、それでもギリギリ間に合わないくらいだった。純恋の学校は時間に厳しい。遅刻してしまえば、評価は駄々下がりだろう。しかも門が閉まってしまえば学校に登校すらできない。1日の学校は全てチャラになってしまうのである。
「え!?う、嘘っ!」
純恋は飛び起きた。重い身体を起こして、パジャマを脱ぐ。白いすべすべの肌が...と言っている暇すらない。制服に身を包む。急いで階段を下りて、髪をひたすら手でとかした。食パンをくわえて...少女漫画ではそうなることだろう。しかし純恋は何もくわえず、必死にローファーをはいた。
「い、行ってきます!」
純恋は全力で走った。今なら間に合う。まだ、まだ間に合うと信じて。息があがる。足が重い。急いで曲がり角を曲がる。
「きゃっ!」
ドンと誰かとぶつかった。疲れきった足がふらつく。するとスラッとした腕が純恋の腰にまわされた。不覚にもドキッとしてしまう。
「す、すみません」
純恋は慌てて謝る。ぶつかった相手は見たこともないくらいイケメンで、大人の余裕がある、とにかくイケメンだった。普通の人とは何かが違う。そんなオーラを放つ人だった。
突如純恋の手が光った。相手の手も光った。
「...っ!?」
眩しくて目を閉じてしまう。しばらくして光がなくなったとき、そっと目を開ける。間近にイケメンの顔があった。じっと見つめられる。純恋の心臓はバクバクとなっていた。至近距離で聞こえてしまうかと思った。後ずさったとき、イケメンは左手を見せてきた。綺麗な指輪が目に入る。衝動的に純恋も左手を見た。
「...え?」
純恋の左手の薬指に綺麗な指輪がはめられていた。
(なに、これ!?)
「お前、名前は?」
イケメンからイケメンボイスが発された。当たり前だ。イケメンなんだから。具体的に言うと、低くて心地よい声だ。
「す、純恋、です」
だから純恋は従うように言ってしまった。
「純恋...か。分かった」
「...あ、えと...」
「純恋、お前は今日から俺の婚約者な」
「...は?」
「その指輪、婚約指輪だ」
「な、何を言ってるんですか?」
「お前は、選ばれたんだよ」
純恋は今までにないくらい動揺する。婚約なんて言葉は身近ではなかったからだ。純恋はまだ高校生だ。
「す、すみません。良く分かりません...」
どこがで聞いたことがあると思った。AIが答えられないときに発する音声だ。分からないことを言われたときのAIはこんな気持ちだったんだと思う。
「こ、こんなの外してしまえば...」
純恋は薬指にはまった指輪を引っ張る。しかしびくともしない。
「外せねぇよ。それ」
「理解できません...なぜ私は知らない貴方と婚約しないといけないんですか!?」
「だからさっきも言ったろ。選ばれたんだよ」
「そんなの、あり得ません。非日常すぎます...」
純恋は混乱していた。混乱しているうちに、8時20分になってしまった。近くで予鈴がなる。
「...い、急いでいるので、その...」
「学校か?」
「そうです。なので婚約とか、受けませんから!」
逃げる体制になる純恋にイケメンは声をかける。
「何年何組だ?」
「...2年2組です、けど...」
イケメンは指を鳴らした。パチンと音がなった瞬間、風が吹いた。ギュッと目を閉じる。さっきも同じような光景があったなと思いながら、落ち着いた時に目を開けた。
「え...?」
『んじゃ、出席確認するぞー』
いつもの担任の渋い声が響く。
(ここ、教室!?さっきの人は?)
純恋は周りを見渡す。しかしあのイケメンはいなかった。ここまでどうやって来たのか、彼が何者なのか。今の純恋には分からなかった。予鈴が鳴り終わるまでに席につけていたのは、きっと彼のおかげなんだろうということしか、分からなかった。左手を右手で隠すように包む。
(婚約なんて、認めてないんだから!)
純恋は今も活発に心臓が鳴っていた。