私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編
「………何にもない」
「お前は何もないのに抜け出すような人じゃない
お前が答えないなら山中先生に聞く」
「…………山中先生には分かる訳ないじゃん
私の苦しみなんか…………」
「香音が話さないと誰も分からないよ
俺はお前のこと知りたい
だから話して」
「……………………」
「まぁいいや
なるべく早く帰るから
多分遅くなるけど………待っててくれる?」
「……病院は…?」
「今日だけなら外泊しても良いって
そこで俺の帰りを待っててください」
「……………待ってる
あとさ………私、もう一人でも大丈夫だから……関口先生は…………」
「…………お前が大丈夫ならいいよ
起きてまたやらないか心配だったけど…………声聞く限り大丈夫そうだから」
「……大丈夫
もうやらない」
「ん、ならいいよ
カッター我慢して偉かった
成長したな」
「……してるもん
手当……ありがとね」
「おう
家でゆっくりしてろよ
発作起きたら病院だからな」
「え……やだ…………」
「あはは、まぁゆっくりしてれば大丈夫だろ
なるべく早く帰れるように頑張るから
期待はしないで待ってて」
「分かった、期待して待ってるね!」
「期待はするなよー
あ、そろそろ戻らないと
香音、無理せず休んでてな」
「うん
雄斗頑張ってね!」
「おう
じゃあな
また後で!」
そして電話を切った