私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編

「ん…………」

「…………知らない医者で怖かったよな
 ここ………親父の病院なんだ
 一応、水無瀬総合病院にするか迷ったけど………本当に嫌そうだったから…………」

「………………………」

「………ごめんな
 無理やり連れてかないから
 香音の気持ち、最優先でやるから…………」

「……………うん」

「……手は大丈夫?
 血……出てるけど………」

「………点滴……勝手に抜いただけ……………」

「……………そっか
 診察は………頑張れないか……?」

「……………………」

「…………分かった
 もう帰ろっか
 疲れたよな」

「……………いいの……?」

「親父に頼めばどうにでもなるから
 もう無理しないで
 させた俺が言うのもあれだけど」

「……………………………」

「ちょっと電話してくるな」

そして立ちあがろうとすると違和感を覚えた

香音の方を見てみると俺の右手を握っていた

右腕………麻痺してからは感覚も鈍くなってるんだよな…………

いつから握ってたんだろ………

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