私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編

「………人……いる………」

「いてもあまりいないよ
 もう夜遅いし」

「…………今何時……?」

「んーと……11時30分過ぎ」

「……雄斗……先帰っていいよ……………」

「それは無理
 お前のこと置いて帰れないから」

「………………………」

「手触っていい?
 手繋いで帰ろう
 目瞑っててもいいから」

「……………怖い……」

「………手触るよ?
 ほら、顔あげて
 大丈夫だから」

そう声かけてもなかなか香音は顔を上げない

どうしようかな…………

「香音、俺のこと見て
 他に誰もいないから」

「……………」

「おーい、香音ちゃーん
 聞いてますかー?」

「……………聞いてる………」

「………………右腕が使えてれば良かったな……」

「っ!
 雄斗は悪くない!………あっ……」

「ふふっ
 やっと顔上げた」

「………ごめん」

「謝らなくていいよ
 後少し頑張って家に帰ろ?
 ずっと病院にいたくないだろ?」

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