私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編
学校
〜雄斗目線〜
今日は卒業式
香音が帰ってくる日でもある
「え、下山先生!?
その指輪は!?」
教室に入った瞬間、近くにいた男子が気づいた
香音に言われた通り付けてきたけど………気づくの早いな
みんな卒業式だから浮かれてるかと思ってたのに
「そのままの意味だけど?」
「嘘!!」
「先生ー、付ける場所間違えてません?」
「間違える訳ねぇだろ
ちゃんと合ってる」
「「「………………………」」」
「………下山先生、ちょっと」
数人の男子と一緒に近くの空き教室へ入った
「下山先生………ちょっと女子が可哀想です」
「さすがにな………下山先生もそこまで鈍感じゃないだろ?」
「今にも泣きそうな奴もいたしなぁ……」
確かにコイツらの言うことも分かる
俺もそこまで鈍感ではない………生徒の好意に気づかないほど
でも、あくまでそれは憧れの方が大きい
「………ごめんな
でもこれは、彼女から頼まれたことだ
彼女を安心させるためにも破るわけにはいかない
分かってくれ」
「…………学年の女子、だいたい下山先生のこと好きですよ
こんな最後の最後に現実を突きつけなくても…………」
「………………最後だからだよ
高校で新しく好きな人を見つけて欲しい
知らないうちに結婚してるよりは…………この方が良いと思うし
それに、彼女に悪意を向けないで欲しい
お前らにも、大切な奴が出来たら分かるから」