その鬼は晴れやかに笑って、

「……桐生とは、二年の桐生ですか」
「うん、彼のうちはもともとそういう家系らしくてね、近場の能力者ってことで話は耳に入ってたから、入学するって聞いて狙ってたんだけど」
「あれは見事な振られっぷりでしたね……」
「悲しいねぇ」

 泣き真似をしてみせる米倉だったが、即戦力として期待していた存在に断りを入れられたことが特別執行委員会にとって痛手だったというのは事実。悪霊……もとい、鬼を相手にするからには毎回が平穏無事とは限らないのだから、彼らはいつだって戦力を求めているのだ。

「というわけで、御崎くん」

 ずい、と身を乗り出した米倉が、御崎の両肩を掴む。

「――別にいいですよ」

 小さく息を吐いた廉の答えに、米倉の細い目が「おっ」と見開かれた。

「ありがたい! やったね吹野さん、桐生くんに代わる相棒だよ!」
「相棒制とか初めて聞きましたよ、センパイ」
「チーム制ではあるでしょう。二人とも攻撃型ではあるけど弓ならサポート的にも戦えるだろうし、何より御崎くんだって交流のない人とよりは吹野さんと組まされる方が気が楽じゃない?」
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