僕らは世界にのまれてく。
「まこと‥‥‥まこと!」
顔は見えないけど、兄が今どんな顔をしてるのか僕には想像できた。
「ねぇ、兄ちゃん‥‥僕、兄ちゃんに会えて本っ当に良かったよ‥‥‥」
声が段々でと出なくなってくるのがわかった。
それでも振り絞って気持ちを吐き出す。
「まこと‥‥!」
僕から見た景色は、物凄く美しかった。
兄が見ている景色は、どんなものだろうか。
知ることすら出来ないことを、高望みする。
あぁ同じ景色が見たかったなぁ。
「まこと、俺に死ねって言ってくれ。頼む、今すぐにでも‥‥」
遮って僕は言った。
「わかった、じゃあ言うね」
どうやったら一緒の景色を見られるんだろうか。必死に考えてたどり着いた答えを僕は見つけ出した。
これで、ほんとうに終わりだ、兄ちゃん。
「ー兄ちゃん、一緒に死のうー」
「ま、まこと‥‥‥?」
「大丈夫、二人なら怖くない」
これからずっと一緒に居ようね、兄ちゃん。
END。