僕らは世界にのまれてく。
「そっか、ならもういいか」
「まこと。もう終わりにしよう。物凄く楽しかった」
その言葉に僕は何も返事をすることが出来ないまま立ちすくんでいた。
「‥‥‥」
「まこと、あっちに向かって歩くんだ光をたどると必ず元の場所に戻れるから」
そう言って兄は、僕の足元を照らすちっちゃな光を指さして説明する。
そっか、これでもう終わりか。
光をたどり、俯いて歩くことしができない僕が最後の勇気を出して兄のいる方へ振り返る。
「えっ‥‥‥‥」
僕の目の前の異様な光景に僕は目を疑った。
空に浮かんでいる無数のナイフは兄に向かって刃を光らせていた。
青い世界が一瞬にして赤い世界へとかわりだす。
だめ。だめだよ。だめだ、だめだ、だめだ!
そして気がつけば僕は、兄を抱きしめナイフに歯向かうように背を向けていた。
「まことっ!」
兄の荒い声だけが僕の耳に柔らかく入ってくる。あぁ、これでもう終わりだ。