幼なじみ


「ごめん。ごめんな…」


「遅いよ、ばかっ…」



そう言って、何度も何度も、宏ちゃんの胸を叩いた。


いままでの想いが溢れてきて、止まらない――。


あぁ。

今すぐ、抱き締めてほしい。


私の気持ちを読み取ったのか、宏ちゃんが私の手首を掴んだ。

そして、向けられる熱い視線――


吸い込まれてしまいそうで、思わず俯く私。


けれど、宏ちゃんは容赦してくれなかった。


「…っ、な、何?」


「いいから、目閉じて」


「……ッ」



そして――。


静かに、宏ちゃんの唇が額に触れた。



< 34 / 58 >

この作品をシェア

pagetop