幼なじみ


『櫻井くん』

オレをそう呼んだ美咲の顔が、頭に焼き付いて離れない。


……なぁ。

なんでいつもみたいに“宏ちゃん”て呼ばねーんだよ!



「宏太ってば!聞いてるの?」


「…うるせー」


「なっ…!何よそれ!
もういい、別れるから」


「勝手にすれば」


「…サイテーッ!」


バチン!


頬に痛みが走る。



…でも、それ以上に痛かったのは心だった。


< 40 / 58 >

この作品をシェア

pagetop