幼なじみ


「行ってきます」


そう声がしたと思ったら、玄関から制服姿の美咲が出てきた。


……よし。

頑張れ、オレ!



「…はよ」


やっとの思いでそう口に出すも、美咲からの返答は無い。

代わりに、冷たい視線をオレに向けてくる。



「…や、たまには一緒に登校しようかなーと思ってさ」


わざと何もなかったフリ。

明るく振る舞った。



「私、一人で行くから」

「じゃあついてく」

「や、やめてよ!」


先を歩こうとした美咲が、慌てて振り返る。



…何だよ。

一緒に歩くのさえ嫌ってか。


< 44 / 58 >

この作品をシェア

pagetop