幼なじみ



「…こー…ちゃん」

「え?」


ふいに名前を呼ばれ、一瞬起きたのかと思ったけど、美咲はスヤスヤと寝息を立てたまま。


……寝言?

どんな夢見てるんだか。




「…ちゃん、宏ちゃん……」


……また、だ。

見れば、時々顔を歪めながら、うわ言のようにオレの名前を呟いてる。




そして。



「宏ちゃん……


  行かないで…」



気づいた時には、美咲を力いっぱい抱き締めていた。



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