幼なじみ
――プシュー
ちょうどタイミング良く、バスが到着した。
「じゃ、気をつけて」
「あっ、宏ちゃん!」
背を向けようとした宏ちゃんを、慌てて引き止める。
「ん?」
「あの、
……ありがとうっ!」
「…おう」
少しはにかんだように笑い、宏ちゃんが右手を上げて。
私もそれに答えるように、右手を振ってバスに乗り込んだ。
瞬間、冷たかった空気がすぐに暖かくなった。
慌ててバスの後部座席に行き、外を見る。
宏ちゃんの姿はもう無かった。