君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

遥陽さん、すごくいいひと。


しばらく会話をして思ったことがそれだった。話をすればするほどこの人のことが知りたいと思ってしまう。


もっと、もっと私のことも知って欲しいと思ってしまう。


……不思議だなぁ。


まだ知り合って数時間しか経ってないのに、頭の中は遥陽さんのことで頭がいっぱいだ。まだまだ話し足りない。


遥陽さんの趣味のこと、遥陽さんの好きなもの。遥陽さんの家族構成。色んなことを知りたくて、その日の夜は日付が変わるまでメッセージのやり取りを続けていた。



「初優!いい加減起きなさい!学校遅刻するわよ!」


「んー……今、何時……」



翌朝。


スマホを握りしめながらいつの間にか寝落ちしてしまっていた私。


朝お母さんの怒った声に起こされて、眠い目をこする。



「もう7時30分よ!早く準備して学校行きなさい!」


「げっ!7時30分!?」



お母さんに時間を言われて慌てて部屋の時計を見る。
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