君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。
仲直りすればいい話だとはわかっている。
だけどそれすらも怖くて。1歩が踏み出せなかった。
「初優は初優のペースで話をすればいい。そんなに焦らなくても、冷泉さんなら大丈夫だよ。上手くいってもいかなくても、いい思い出になるように頑張ればいい」
「ふっ……うぅ……紗夜ぉ……」
私の隣の席に座り、背中をさすってくれる。
紗夜はいつも私の話を聞いてくれて、ちゃんとアドバイスしてくれる。不安な時はそばにいてくれるし、最高の友達だ。
「まぁ、これからどうするかは初優たち次第だからね。相談くらいしか乗れないけど、いつでも話は聞くよ」
背中を擦りながらなだめてくれる。
しばらく泣いていると気持ちが落ち着いてきて、やっと涙が止まった。泣いている間、チラチラと周りのお客さんに見られたけど泣いてよかったと思った。
「ありがとう、紗夜。落ち着いた……」
「そう。なら良かった。泣きたい時は泣かないとね。苦しいばっかりだから」