君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

「まぁまぁ。落ち着いて。ここ、学校だから」


「………うん」



冷静な紗夜になだめられ、深呼吸する。



「冷泉さんって真面目そうだけど、意外とこういうの苦手だったりするのかな」


「こういうの?」


「喧嘩よ、喧嘩。自分の思ってることちゃんと言えてるのかなって。初優は言えてるみたいだけど、冷泉さんは優しいから、自分の思ったこと言えてないんじゃないかな」



たしかに。


遥陽は優しいし、あまり自分の気持ちを言わない。私の事を好きっては伝えてくれるけど、それは自分の意見じゃない。


遥陽は優しすぎて、自分の気持ちをさらけ出すのは苦手だった。
< 185 / 232 >

この作品をシェア

pagetop