君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。
「紗夜の言う通りかも……」
「だとしたら初優とまっすぐ向き合うってなかなか難しいんじゃないかな〜」
「でも……!」
ーキーンコーンカーンコーン……。
紗夜と話している最中にホームルームが始まるチャイムが鳴った。クラスメイトはガタガタと自分の席に戻り始め、ホームルームの準備をしている。
「あ、そろそろ戻るね。この話の続きはまた後で!」
「うん」
その様子を見た紗夜は話を切り上げて、自分の席に戻る。
私も頷いて、机に顔を突っ伏した。
私は遥陽のこと、信じてるよ。ちゃんと話をしてくれること、自分の気持ちを言ってくれること。
こんな感じのまま、2人の関係を終わらせたくないんだ。
そのことを紗夜に伝えたかったのに、タイミング悪かったかな。
「はぁ……遥陽、いまどう思ってるんだろ……」
窓の外の空を見ながらボソリとつぶやく。
空はどんよりと曇りがかっていて、まさに私の気持ちそのものだった。