君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

遥陽の事を知るきっかけになったのは友達だけど、私は遥陽を運命の人だと思っていた。



『お互い初めての恋で色んなことに悩んで苦しんだと思う。でも、俺……もう限界なんだ。自分のことで精一杯で、初優の事を考える余裕は……今はない』


「……それでも私はっ……遥陽と一緒に……」



そこまで言いかけてふと思った。


今年は遥陽が受験生で忙しいけど、来年は?


自分が受験生の時、遥陽の事を考えながら行動出来る?このまま付き合い続けてたら、また同じ悩みに衝突してしまうのでは?


限界、と言っている遥陽に“ずっと一緒にいたい”なんて言ったら、それは恋なんかじゃなくて、ただの依存になるんじゃないのか?


一瞬にして、色んな考えが頭をよぎった。



『これ以上初優を傷つけて後悔したくないんだ。こんな自分勝手な考えで、初優との関係を終わらせるなんて情けないし、男じゃないと思ってる。だけど、この選択は……間違ってないと思う』
< 195 / 232 >

この作品をシェア

pagetop