君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

「……うん。私も、そう思う」



こんなことは言いたくない。


だけどまだまだ未熟な私が後先考えないでこのまま引き止めたら後悔してしまうと思った。


大学生活を控えている遥陽に私で制限をかけたくない。それなら……別れる方が、正解かもしれない。



『初優……本当に、自分勝手でごめん。だけど……初優と付き合ったこの半年間は、間違いなく俺にとって宝物だった。俺に恋してくれて、ありがとう』



……ここで、こんなことを言われたら、泣くことを抑えきれなくなっちゃうじゃん。遥陽の……バカヤロー……。



「う……ぁそんなんっ、私の方こそありがとうだよ。遥陽と出会えて毎日楽しかった。キラキラ輝いてて、宝物だった。私に恋する気持ちを教えてくれて、ありがとう……」



大声で泣きたいのを必死で抑えて遥陽に言いたいことを言った。上手く言えたか分からないけど、これだけは伝えたかった。


“私の初めての恋人になってくれてありがとう。恋を教えてくれて、ありがとう”。
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