君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

慌てて否定しようとしたけどそれはもう無意味だと悟った。


紗夜はキラキラと目を輝かせ、私の手を握る。



「初優!会いたいならちゃんと自分から言わなきゃ!じゃないと待ってたって何も始まらないんだからね?」


「……わかってる、けど……」


「自分から行動しないとこの恋は実らないよ!私、初優のこと全力で応援してるから!」



うっ……そ、そこまで言われると否定出来なくなっちゃうじゃん……。まだ私の中では“会う”なんて覚悟できてないのに……。


紗夜の応援に戸惑いつつも、いつかは会いたいなと思っている自分もいたのでそのままにした。そして話は春休みの遊びの計画へ。


高校1年生の春休み。


何かが起こりそうな予感を抱えながら、幕を開けたのでした。


***


翌朝。


いつもより遅く目を覚ました。ぼーっとしながら時計を見るともう午前の11時近くを指していて、思わず飛び起きる。
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