君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

念の為にそう付け足した。じゃないと後々大変になりそうだから……。



「わかってるよ〜!それじゃあ夜、初優のスマホのメッセージ欄に相手のID送るね」


「うん」



ウキウキしながら紗夜はスマホをまた見て、何やら文字を打っている。


きっと彼氏に報告しているのだろう。


いったいどんな人とメッセージのやり取りをするのだろうか。モヤモヤとした気持ちを抱えながらその日の昼休みを終え、午後の授業の準備に取り掛かった。


***


ーピコン。



「ん?紗夜からメッセージ?」



あっという間に夜。


お風呂から上がって髪を拭いているとテーブルに置いておいたスマホが震えた。


タオルを置いてスマホを見てみるとそこには紗夜からメッセージが2件届いていて、不思議に思いながら画面を開く。


『昼休みに言っていた相手のID送ったよ!無理しない程度に仲良くね』


……そうだ、昼休みに紗夜と話してたっけ。
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