君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

私は意を決してメッセージを覗いた。


『初めまして。紗夜さんから紹介してもらった冷泉遥陽(れいぜいはるひ)と言います。よろしくお願いします』


ードキッ。


丁寧な挨拶だな……。


短い文だけどその人がどんな人か読み取れるようなそんなメッセージだった。


文字だけで相手の顔はまだ分からないけど絶対優しい人に違いない。確信できることはまだ何も無いけど不思議とそう思った。


短いメッセージを何度も読み返し、自分も同じような自己紹介文を送る。


ドキドキしながら送信ボタンをタップし、1度画面を閉じた。


わけのわからない気持ちが奥から押し寄せてきて、思わず自分のベットへダイブする。


足をバタバタさせ、これからどうなるのだろうというワクワクした気持ちでいっぱいになっていた。



「メッセージ、まだかな……」



スマホの画面を閉じて数分後にはそんな気持ちが芽生えていた。あんなに新しい人とやり取りするのに気が進まなかったのに、今ではスマホをチラチラと見てしまっている。
< 8 / 232 >

この作品をシェア

pagetop