君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

「いーじゃん。ちょっとくらい!初優と冷泉さんのラブラブを見たいのよ〜」


「勘弁して〜」



グリグリと紗夜は顔を私の肩にめり込ませる。くすぐったくて笑いながらスマホの画面を閉じた。


返事は後で送ろう。紗夜に見られたら恥ずかしいし……って、メッセージを見られた時点で恥ずかしいけどね。


でもこんなふうに紗夜と恋バナして、楽しい時間を過ごせるならいいかなと思った。



「あ、そろそろ教室戻らなきゃ。チャイム鳴っちゃうよ?」


「ほんとだ」



紗夜がスマホの時計を見ながら、そう言った。


いつの間にか時間は流れていてあと数分でホームルームが始まる時間だった。私と紗夜は慌てて立ち上がり、教室に向かう。


チャイムがなるギリギリに教室に滑り込み、自分の席に座る。スマホをポケットから取り出し、遥陽さんにメッセージの返信をした。


『ありがとうございます!遥陽さんも頑張ってくださいね!』
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