君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

あたふたしてしまったけど、遥陽さんの声を聞けて心拍数は上がるばかり。声を聞くだけでもこんなに幸せになれるなんて。


遥陽さんはすごい人だ。



『あはは。緊張しなくてもいいよ……って言いたいけど、付き合って初めての電話だもんな。俺も緊張してるよ』


「遥陽さんも……?」


『そうだよ。好きな人の声と話すのって楽しいけど少し緊張するよね。今更って思うかもしれないけど』



電話の向こうで恥ずかしそうに話す遥陽さん。


電話越しで声しか聞こえないけどなんだか照れているように感じた。なんだか私と同じ気持ちを持っていたことに安心する。


そしてまた、遥陽さんの好きという気持ちが膨らんでいった。



「遥陽さんの声が聞けて嬉しいです。昨日会ったばっかりなのにもう会いたくなっちゃいました」



ドキドキしながら自分の気持ちを素直に言ってみた。普段の私なら言えないけど電話だと言える言葉。


電話って不思議だね。


自分の気持ちをこんなにも素直に言えるんだから。
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