幸せな音
「むー、おいしいけどさ、わかってる? 私がどれだけ葛藤しながら取捨選択してるか? 油断してるとすぐ太るんだからね? ダイエット中の私に軽はずみな言動は控えるように」

「今の信愛さんも素敵ですけど、ふくよかな信愛さんも絶対可愛いと思うんですけど」

「そういうとこだぞ優武くん!」

 嬉しいけどさ! そういうことじゃないから!

 デザートのアイスクリームに舌鼓を打っていたらあっという間にチェックインの時間が来た。

宿の客室で優武と今日の楽しかった事を全部話しながら笑い合った。お茶を飲んで一息ついてちらりと時計を流し見る。夕食までまだ一時間はある。思い切って信愛から切り出した。

「あの、優武くん! ここって客室に露天風呂があるじゃない!」

「は、はい」信愛の気迫に気圧されるように頷く優武。

「一緒に入らないっ?」

「ええっ、いいんですか、そういうことして!?」

「いいも何もそういう温泉宿だから!」

「そうだったんですか!? えっと、それじゃあよろしくお願いします!?」

「よし、いこー!」
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